酷暑、豪雨、雲海。
目まぐるしい環境を味わえた600ブルべ
脚を痛めて400km地点でDNF。
●序文
2018年6月30~7月1日、天候は晴天→豪雨→雨→霧→晴れ。ランドヌール宮城主催の600ブルべに参加した。
結果は400km地点でリタイヤ。
奥只見湖~御池のオーバーペースでアキレス腱炎発症。
体力、環境適応力の両方が完全に欠けていた。
日中は酷暑に対応できず、熱中症気味になり、
明け方の霧中では体温を奪われて眠気に襲われた。
環境は厳しいが、コース上の景色には息をのんだ。
絶景を見るには対価が要ると感じさせられた。
●経路概説
総距離600km、累積標高8,200mの山岳コース。福島、宮城、山形および新潟の内陸を巡る。
走力はもちろん、天候変化の適応力が求められる。
【総距離】
295km
【累積標高】
3,510m
【最大標高差】
792m
福島市街の西はずれをスタート。
まずは、酷道399号で茂庭を越え、PC1南陽へ。
南陽から国道113号~一ノ木線を越え、PC2会津坂下へ。
会津から国道252号、只見線沿いに新潟へ入りPC3の小千谷へ。
これで前半終了。
【総距離】
308km
【累積標高】
4,767m
【最大標高差】
1,476m
後半戦、PC3の小千谷から先は国道352号。
352号は通称”樹海ライン”と呼ばれる秘境道路。
魚沼から枝折峠、奥只見湖畔、御池の登りが続く。
通過チェックの御池でリタイヤしたので、
そこから先の道は分からない。
●行程記録
スタートは日の出前の4時。
R宮城の600にしては参加者が多く賑やかな感じだった。
自転車はまつもとサイクルのクロモリロード。
乗り慣れたフレームにC24を履かせて出走。
●スタート福島から茂庭ダム
朝焼け時に医王寺、飯坂温泉付近を通り抜け、
国道399、茂庭ダムの登りで青空になった。
●切り立つ法面と草木に囲まれた茂庭街道
茂庭街道、酷道399号は狭小な道。
福島側はガードレールと法面でがっちり固められ、
宮城側は草木で柔らかく覆われる。
●七ヶ宿街道から高畠へ
国道113号、七ヶ宿街道で山形の高畠へ下る。
青い田んぼの向こうは雪化粧した飯豊連峰。
南陽の平野にはフラワー長い線が走る。
●南陽から本気を出してくる陽射し
PC1を過ぎてから暑さが本格化してきた。
道の駅”いいで”でアイス休憩。
これから先、一ノ木線に向かって商店は減る。
●飯豊は酷暑の道
白河湖から飯豊トンネルの区間はうだる暑さだった。
風なし、じりじり登る道と陽射しは堪えた。
最高点の飯豊トンネルへ標高を稼いでも気温は変わらず...
●涼しい飯豊トンネルで休む
ボトルの水を空にして、飯豊トンネルに着いた。
トンネル内はエアコンを効かしたように涼しかった。
まだ序盤だが、暑さで燃え尽きた感がある。
●飯豊トンネルを越えても酷暑は続く
標高1,000m近い飯豊トンネルから会津まで下り基調。
暑さにへばったので山都のソバ屋で昼食。
やりきれない暑さのため、この時点でDNFを考え始めた。
しかし、偶然ソバ屋のテレビで天気予報が流れていて、
「会津地方に雨雲が来ています」
まさに渡りに舟、これで会津から新潟へ行ける。
●JR只見線沿い、晴天に雷鳴が響く。
PC2からは只見線沿いに魚沼へ抜ける国道252を一直線。
晴天の柳津で雷の音が聞こえ、道の駅”みしま”から空は鉛色に。
まとまった雨を期待する。
●酷暑に恵みの雨。もっと降れ!
早戸からバケツをひっくり返したような雨がきた。
これを待っていた。
暑さでボーっとした頭がさえわたる。
かなりの雨量で先行の参加者は雨具を来て停車していた。
雨具は標高がある程度上がったら着ることにした。
夕立のような雨だし、そんなに長続きもしないだろう、
とふんでいたが...
●もう良いです、止んでください!法面が崩れます!
始めのうちは喜んでいた浴びていた雨だが、
いつの間にかヤバいレベルになった。
道を流れる水に抵抗を感じる。
法面の吹いてはいけない場所に滝ができている...
気温もガクッと落ち、金山手前のトンネルで雨具着用。
これが樹海ラインだったら洗い越しで流されそう...
雨ごいは安易にするものじゃないな。
●雨雲去って虹が立つ@只見ダム
猛烈な雨も会津大塩の手前で止んだ。
只見ダムに登るときれいな虹が出た。
●山間を縫うスノーシェッドの道路
只見ダムから田湖倉湖の道。
豪雪地域らしくスノーシェッドが続く。
既に陽射しも雨もない。
屋根付き道路のありがたみがない。
●六十里越え街道で新潟へ入ると再び雨
田湖倉湖を見下ろす六十里越え街道の最高点。
新潟の魚沼方面まで下り一本。
日が暮れるとシトシトと雨が降り出した。
PC3までの道中、冷たい雨に嫌気がさしたので、
越前田中で神湯温泉で休憩。
●折り返しの小千谷、越後川口で1時間仮眠
貯金をゼロにしてPC3小千谷に到着。
折り返しPCを出た後、越後川口の道の駅で仮眠。
昼間の酷暑と雨の疲れか、1時間ぐっすり眠れた。
●深夜の枝折峠、昼を欺く月明り
枝折峠への登りは強力な月明りに助けられた。
街灯のない、寂しい峠道になると思いきや、
先行の参加者に追いついたり、後続から追い抜かれたりと、
意外と通行量の多い、賑やかな道だった。
●夜通しきたの枝折峠
枝折峠の頂上手前で空が白んできた。
日の出に間に合ったが、時間の余裕はない。
●雲海に覆われる奥只見湖
タイムアウトが迫るものの、目の前は奥只見の雲海。
今まで見た中で一番の雲海だったので中々進めない...
白筒を並べたカメラマンが「今日はすごいな!」と言っていた。
この日の雲海はかなり深かったようだ。
奥只見湖に向けてダウンヒルすると視界は真っ白。
そして寒い!
雲の中へ下るので当たり前か。
霧で視界が単調なためか、ダウンヒル中に意識が飛んだ。
川口での仮眠が足りなかったか?
朦朧としながら遊覧船乗り場前に到着。
商店の軒先で仮眠→1時間ロス、時刻は6時。
いよいよPC4のクローズが危なくなってきたな...
●朝霧から晴天に変わる湖畔
奥只見の遊覧船乗り場から御池まで46km。
この区間は登り下りの絶景が続く。
だが頭の中はPC4に間に合うか否かで一杯だった。
奥只見の湖畔沿い:30kmアップダウン=ave25km/h。
湖端から御池まで:15km,800m登坂=ave10km/h。
普段通りで行けば2時間45分、8時45分に御池。
写真・休憩で3時間、9時ジャストに御池。
御池9:00→PC4クローズ18:04まで180km:9時間。
これならギリギリで間に合う。
御池に9時までに行けなければ諦めよう。
●奥只見湖畔を越え、アキレス腱炎症
奥只見湖畔でオーバーペースが祟り、
御池への登り手前でアキレス腱炎となった。
1,000kmブルべの800km地点でも同じ症状が出た。
あの時は終盤200kmが平坦だったが今回は違う。
御池まで登ったらDNFしようと決定。
●御池でDNF
結局、予定から1時間遅れた10時に御池着。身体が万全でもPC4には間に合わない。
今は走ろうにも踵骨から腱がズレそうで怖い。
あとは安静にしてゆっくり家に帰ろうと決めた。
御池レストハウスで居合わせたAJ埼玉のスタッフと雑談。
「埼玉1,000km出ませんか?」と誘われたが、
今の体の怠けっぷりでは厳しいだろうな。
御池から会津高原まで、バス・電車併用の輪行で帰宅。
アキレス腱の違和感は1か月で消えた。
自分の関節は全て硬いので、普段からストレッチしよう。
●跋文
2週間前の宇都宮400kmに続いてDNFとなった。
脚ができてないのに踏みすぎで踵を壊した。
ペース管理の甘さがリタイヤの最大原因。
また、7月初め日中の暑さを甘く見ていた。
初日の会津は38℃、用水路に浸からないと危険な暑さだった。
無理に頑張って山の中で干上がるのはまずい。
熱中症を避けるor暑さに耐える境界を自分の中で決めよう。
DNFで反省はあれど、常に絶景を見続けた392/600ブルべ。
残りの200kmも面白そうな道が続いている。
険しいルートのため、開催は難しいかもしれないが、
次に走れる機会があれば600km、最後まで走りたい。
主催ランドヌール宮城のスタッフの方々、
途中までですが、素晴らしいコースをありがとうございました。
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