新潟の浦佐から酷道∧秘境をつないで会津若松までサイクリング
●序文
2020年8月2日、天候晴れ。新潟の浦佐駅から奥只見~奥会津を経て会津若松へサイクリング。
在宅勤務続きで目が疲れたので、スマートホンが使えない国道を選んだ。
国道352と401号は電波が弱い上に絶景&酷道が続く。
●経路・行程概説
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時勢に合わせて、3密を避けた人通りの少ない国道を利用した。
熊とのソーシャルディスタンスをとるため熊鈴着用を推奨。
※1:電波圏外区間多い+銀山平~30kmは自販機なし
※2:博士峠周辺は電波圏外。峠手前で熊(成獣)を確認
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●行程記録
●JR浦佐駅スタート、道の駅”ゆのたに”へ
前日の晩、上越新幹線の終電でJR浦佐駅まで輪行。0時出発。
0時40分に道の駅”ゆのたに”に到着。
酷道352号の樹海ラインで日の出と雲海を見るためベンチで待機。
2時に湯之谷をスタート。
●未明の国道352号で枝折峠へ行く
大湯温泉街を越えれば本格的な樹海ライン(人家なし)が始まる。
街灯は無く、月が隠れているのでほぼ真っ暗闇。
だが200ルーメン以上のライトがあれば通行は可能だと感じた。
時刻3時55分。大湯から1時間15分で枝折峠に到着。
●枝折峠から雲海を眺めて日の出を待つ
未明~明け方、枝折峠から銀山湖を眺めると概ね雲海で見えない。雲海を見るために来ているのでそれでいい。
枝折峠で迎える朝は3回目だが、今のところ100%雲海が見えてる。
日中に湿気った空気が夜中に冷やされて低い雲ができるのだろう。
御荷鉾から見た雲海、群馬の神流にあるダムも同じような地形だったな。
●陽が出てきてからダウンヒル開始
峠に着いてから1時間くらい経過、そろそろ空気が温まるとみて下り開始。雲海の中に入ると分かるが、雲の中は8月の盛夏でも凍えるほど寒い。
陽が出ると道路を覆っている雲海がドライアイスの煙みたく流れる。
それが見えたら先へ下る。日本の酷道が雄大に見える。
凍えている中で見る陽の光ほどありがたいものは無い。
●雲の下の銀山平へ
峠から銀山平方面のスノーシェッド
写真では伝わらないけど雲の流れが凄い。
トンネルを越えると雲の中
かなり冷えてきた。冷房病になる。
氷の粒に浸かる雲海浴。あまり体に良くなさそう。
自販機のある銀山平の船乗り場で一服休憩。
雲の下は湿気って温い。
●国道352号:樹海ライン、絶壁の狭隘路と洗い越し
秘境酷道としても知られる国道352号、樹海ライン。周り一体を山に囲まれた圧迫感。何度走っても緊張感がある。
平坦路はあまりなく、基本は湖に流れる沢の登り下り。
●樹海ラインの洗い越し
沢の水を道路へ捌けさせるワイルドな洗い越し工法。豪雪地帯の道路維持には適しているのだろう。
数年前、沢の水を飲んで腹を下したのでもう飲まない。
●銀山平~県境の民宿街までおよそ30km
補給区間の少ない樹海ライン銀山平から県境の民宿街の間は自販機すらない。清四郎小屋の前にあった営業中の自販機でコーラを飲んで休憩。
ここから先に御池まで登りかえしがあるので水には余裕を持たせたい。
●県境の只見川から御池ロッジへ登る
只見川を越えれば魚沼から福島・桧枝岐村に入る。県境から人家のある市街地はまだまだ遠い。
御池まで補給が不安なら川を渡った先の喫茶店「山ん中」に寄ろう。
景色は開けないので御池まで淡々と登る。
県境からおよそ1時間で御池ロッジに到着。
BYD(比亜迪)の電動バスが運行していた。中国のLiB利用拡大は侮れないな。
気温は涼しいけど登坂で体が熱いのでアイス購入。
ぎっしり詰まって井村屋並みに硬かったのでしばらく置いてから食べた。
●御池から国道352号で檜枝岐村へ
アイスを食べた後は檜枝岐に向かってダウンヒル。道の駅の食堂が空いていたのでテラスで昼食。
昼食後は国道401号会津若松方面へ向かった。
雲の中と違って平地は暑いな。
●国道or酷道?401号で南会津・昭和村へ向かう
残りは会津若松まで向かうだけで楽勝!と思っていたが国道401号にもそこそこの登坂が残っていた。
南会津から新鳥居峠を越える。
この辺も国道というよりは酷道と言える道だった。
渓流沿いの国道401号、道幅は軽自動車のすれ違いも厳しいくらい。
そして獣の気配も頻繁にある。
ボトルの水が不安になった頃、飲める湧き水があったので補充。
暑いのでボトルに組んで頭からかぶってると自動車が通って笑われた。
こういうタイミングほどヒトに遭う率が高い。
●昭和村”からむし織の里”で休憩
昭和村に道の駅があったので寄ることにした。昭和村は上布の一つ、”からむし織”の数少ない生産地。
からむし織はイラクサ科の植物””苧(からむし)”の茎から作る布。
上布(夏用和装の布)として昔は献上品にもなっていたという。
展示されている反物。
淡い色合い、シンプルな模様が素晴らしい。
試着用Yシャツを着てみたが触りの良さと涼しさに感動した。
モンベルのワイシャツが10着買えるがモンベルは機能性しかない。
からむしのワイシャツは1着でもモンベルの上を行く機能性と職人の技が織り込まれている。
そう考えると安いな、と思ったがさすがに購入は控えた。
着る服には分相応というものがある。
ここでも1時間くらい時間を潰したのでそろそろ会津若松へ向かおう。
●国道401号、熊におびえて越える博士峠
最後は昭和村から国道401号で会津若松へ向かった。博士峠の手前は”電波圏外注意”の看板があった。
確認すると確かに圏外だった(iij-mioのKDDI)。
ここじゃ熊に襲われても救助は呼べないということだが、
熊注意の看板がないので大丈夫だろうと熊鈴をカバンに入れたまま進んでいた。
すると峠手前2km弱だろう、道路左手の茂み30mほど奥に熊を発見。
思わず足をついて下り側へ転回したが、その音に気付いたか茂みの奥に去った。
なるほど、熊注意の看板がないのは居て当然ということか。
熊は下る側に去っていったので博士峠のつづら折れを登り続けた。
そして峠まで残り1km切ったあたりで地元ナンバーの対向車が止まって、
地元民「この先100mの道路脇に熊いたよ」
自分 「えっ、ここから下ったところにもいましたけど...」
地元民「通るとき気を付けてね。」
自分 「はい。」
さっき見たのとは違う熊か分からないが、まだいるのか。
特に止められなかったので熊鈴を鳴らして進んだ。
ディレイラーの調整がすぐできるよう
茂みから何らかの音はあったが幸い遭遇無しですんだ。
博士峠は休憩なしでそのまま下った。
今改めて思うと自分は峠を引き返すべきで地元民は止めるべきだったのでは?
しかし引き返した先にも熊が出ないとも言えないので選択は難しい。
博士峠から先、民家が見えるまで熊鈴を鳴らしっぱなしで進んだ。
工事中区間はグラベル状態だったが自分にしてはかなりの速度で下ったと思う。
●会津若松の田園地帯。人里に降りて一安心
未明は暗闇の枝折峠、体力ゲージの下がった終盤・博士峠では熊におびえるなど、
今日は神経をすり減らすことが多かった。
夕方の田園風景を見たときの安堵感はもう何とも言えない。
●跋文
今回は新潟の浦佐から奥只見~奥会津を経由して会津若松までサイクリングした。
樹海ラインから見た銀山湖に広がる雲海は相変わらず見事だった。
国道401号は以前にも走ったが、樹海ラインを終えてから越えるには結構登るなあと感じた。
博士峠の前後は熊を見たり目撃情報を得たりと恐怖感も多かったが全体としては楽しめた。
今回のを含めて熊との遭遇は5回。いずれも熊鈴をつけてない状態。
博士峠で2頭目?に合わなかったのは鈴を鳴らした効果もあったのだろう。
山間の国道では常時鈴を鳴らして熊とのソーシャルディスタンスを確保しよう。
これまでは互いに身を引くですんでいるが、会わないよう努めるのが第一だ。
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