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アラヤCXGに本所×SimWorksの泥除けを付ける。



●序文

2020年5月15日、新家工業のMuddy Fox CXGをフルマッドガード化した。
雨天時、乗り手の体温維持とメカの消耗を減らすうえで絶大な効果が得られる。
個人的にはフルマッドガード化されている車体の方が見た目も良い。
追加費用と重量アップが代償だが上記メリットの前ではデメリットにならない。


(A) 取付車体:ARAYA Muddyfox CXG (Black)

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取付対象は2019年モデルのアラヤ マディフォックス CXG(黒)。
2019年7月に購入後、すぐにバラシてGRX810メインで組みなおした。
まだ800kmくらいしか走ってないので傷は少ない。
雨天でも快適に乗れるようフルマッドガード化する。


(B) 取付部品:Turtle 44 Black

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今回付ける泥除けは本所×Sim Works製のTurtle 44
本所が叩いて、Sim Worksが黒く塗ったもの。
個人的に亀甲模様は銀色でこそ映えると思うが、車体イメージに合わせて黒を選択。

幾何学的なハンマード加工、濡烏のような滑り感のある塗装。
泥除けに必要ない機能だが触り心地最高。
購入後、2時間くらい撫でまわしていた自分に今の自分が引いている。



(C) 要求仕様:10分以内に縦置き輪行袋に収納可能なこと

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フルマッドガード装着は重量、輪行時間の増加につながる。
重量は目をつむろう。体を鍛えれば対応できる。
ただし時間は作れないので、ゆっくりで10分、急げば5分で輪行を可能とする。


(D) 取付構想:守備範囲と固定方法を考える

(D-1) 取付構想:守備範囲

カタログにトレーシングペーパーで構想図を作成。
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水掛かりをなくす範囲をどうするか決める。
背中、尻が悲惨にならないこと、ひざ下、チェーンリングの水濡れを避けるため、
前は7時過ぎ~12時までの範囲、後は21時から15時の範囲とする。
リア全体を外すと取り回しに困るので、シートステーブリッジを境に分割。


(D-2) 取付構想:固定方法

脳内3Dモデリングしたものを紙にプロットする。
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ステー:低頭ネジで金具類を串刺し、蝶ネジで緩めれば引き抜ける構造
リア側:シートステーブリッジを境にL字アングル2個使い、蝶ネジ共に脱着
フロント側:コラム穴に通すロングボルトで金具を串刺し、蝶ネジ共に脱着
リフレクタ:皮革ワッシャ噛ませてネジ一本止めwithロックタイト

取付方法は色々あれど、自分は泥除け本体と金具のメタル接触を避けるようにしている。
初めてランドナーを買ったお店の手法、本革スペーサーを踏襲する。
皮革はゴム・樹脂に比べて耐油・経年劣化に恐ろしく強い。(経験上)


(E) 仮組検討:仮組して必要部品を探し、加工方法を詰める

(E-1) 仮組検討:段ボールスペーサーで実取付位置を出す

取付の構想が決まったらまず仮組する。
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泥除けにできる実際の隙間をスペーサで再現する。
クリアランスの均一性、隙間の許容を見る。
見た目には面一が美しいが、砂利道も行きたいので1cm以上の余裕を持たせる。
余裕が大きいと枝葉を巻き込みやすくなって座屈破損もあるので隙間設定は悩みどころ。


(E-2) 仮組検討:取付金具のモックアップ作成から部品収集

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想定クリアランスの仮組状態で、取付金具のモックアップを作成。
作ったモックアップを持ってホームセンターで一番近いやつを探す。
今回は類似形状のアングル材が見つかり、穴位置を長尺加工するだけですんだ。
フロント側の金具は泥除け標準装備の物が適合した。


(F) 部品加工:揃えた部品を加工していく

(F-1) 部品加工:穴あけ加工とリアの分割加工

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加工と言ってもハンドドリルの穴あけと金鋸での切断のみ。
アルミ材なのでサクサク加工できる。
端面から塗装剥がれ進みそうだからコバを塗ろう。

(F-2) 皮革当て材の作成

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ユザワヤで買った革の端材を金具の形状に切って当て具を作る。
地味な作業だけどアルミの薄い泥除けに金属直当てはクラック発生が怖い。
軟な材料噛ませてボルト緩まなないか?と思うけど不思議と緩まない。
念のため固定時にロックタイトは塗っている。


(G) 部品取付:収集・加工した部品を取り付けていく

ここまで来れば後は取付作業だけ。ここに来るまでが結構長い。

(G-1) 部品取付:泥除け金具

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皮革当てを挟んで泥除け固定金具を付ける。
泥除け内側にボルト頭が5mmほど突出する。
クリアランスを詰める場合は低頭ネジを内側にする必要がある。

(G-2) 部品取付:ステー金具

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ステーは専用金具を蝶ネジで締め付ける。
自転車の裏側というのか、低頭ネジを手前側に突き出させて、
金具、ばね座金を蝶ネジで抑えるイメージ。
裏側のネジ頭がリアはチェーン、フロントはディスクに干渉するため、
飛び出しの少ない低頭ネジを選定した。伝統のダルマねじは干渉…

(G-3) 部品取付:リフレクター

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M5ネジで皮革ワッシャ当てて取り付ける。
取り付け要領写真は撮り忘れたので外観のみ。
一個4000円もするけど削り出しボディが出す存在感はすごい。
素敵性能を爆上げするための逸品。両国で買ったら番付表が付いてきた。


(H) 取付完了:外観満足、干渉無し、脱着は2分以内で余裕あり

(H-1) 全体外観評価:「何とも言えない自転車になったな」

カッコいいのかダサいのか自分でも何とも言えないが気に入った。
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前から見てみよう。
黒いマッドガードは主張しすぎず、遠目に目立たない感じだ。
フレームの角字デカル「新家工業」とリムの英字「AKSIUM」がミスマッチすぎる...
リムのデカルも角字で「嗚呼苦死雨無」とかにしてやろうか。


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後ろから見てみよう。
泥除けとリフレクタの組み合わせは悪く言えばママチャリっぽく、
良く言えばランドナーの垢抜けない実用第一の見た目になっている。

適度なダサさを備えた実用重視の自転車になったと言えよう。
服で言うとmont-某llとか某rg-houseとかの部類に入る感じ。
苦労して組んだ割に満足してないような書き方だけど、本人は最高に満足している。
とりあえずリムのデカルは変更する。

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遠目には目立たない黒の亀甲模様も光が入ると存在感が増す。

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使い込むうちにハンマーエッジから塗装は剥がれるだろう。
みすぼらしいとは思わず風格が出ると思おう。


(H-2) 試走結果:「乗れないから耐久性は何とも言えんな...」

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イメージ通りに取付は完了した翌日、雨が降ったので調整走を実施。
但し2020年5月時点,東京都は緊急事態宣言中のため台東区内4kmのみの稼働。
浅草寺境内裏のグラベル?で振動を見たところガタツキや干渉は無し。
連続の振動で緩みが出ないかはCOVID-19が収束後に試そう。


(H-3) 試走結果:「林道40km走っても緩まない!」

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群馬の林道(秋鹿・万沢・高田山)を走ってみたが、緩むことなく走破できた。
手締めの蝶ネジ固定でも十分だと分かって一安心。ばね座金は偉大だ。
石の跳ね上げはあれど、噛み込みは無し。枝葉の多い林道ではリアを取ろう。
~2020/6/24追記~


(I) 改善事項:蝶ネジ取り外しを避けたい

泥除けの取り外しは1分、取付は2分で目標を達成した。
しかし、前後泥除け固定の蝶ネジを外すため部品紛失の虞がある。
これは金具にスリット設けて蝶ネジを緩めるだけで取れるよう検討しよう。
ただし座面減少イコール固定力低下になるので耐久結果を見ながら試す。


●跋文

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初期状態からコンポーネント、ホイール、デカルの変更で当初の面影が薄れてきたCXG。
今回はアラヤCXGに本所&SimWorksの泥除けを取り付けた。
部品を揃えたり加工したりで2週間程度、費用は1,8000円に及んだが、
イメージ通りの取付で満足できる結果となった。

ランドナーっぽくなったけど、もはや自転車のジャンルを考えるのは無意味に思えてきた。
新家が言うCXはSeeksと掛けられ、ジャンルをクロスオーバーする意味があるらしい。
特定のジャンル・用途向けに制約を与えず、個々人の思うままに使える自転車。
新家工業は楽しい自転車を作るメーカーだ。