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甲斐善光寺、信濃善光寺、元善光寺を辿るサイクリング



●序文

2020年3月21~22日、天候晴れ。
山梨・長野・飯田にある3つの善光寺を巡るサイクリングに出た。
本記事は1日目の行程をまとめる。(長い)
甲府~甲斐善光寺~信濃善光寺~安曇野まで230km弱。

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●経路・行程概説


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  • スタート:JR甲府駅
  • 国道411号~甲斐善光寺
  • 国道52号~甲斐市
  • 国道20号~韮崎
  • 国道141号~野辺地~小海
  • 県道2号~佐久
  • 国道18号~海野
  • 国道141号~上田
  • 国道18号~川中島
  • 国道117号~長野市
  • 国道18号~千曲
  • 国道403号~姨捨~安曇野
  • ゴール:安曇野
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  • 経路総長:232km
  • 累積登坂:2,425m
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    ●行程記録

    ●甲斐の国、甲府駅スタート

    金曜日、特急かいじの終電で甲府まで輪行。
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    武田信玄像の前で輪行を解いて午前1時スタート。
    今回の自転車はアラヤCXG(105&GRXカスタム)。
    文句なしの安定感と堅牢性。


    ●戦火の疎開先、甲斐善光寺

    第一目的地、甲斐善光寺は甲府駅から東へ数km。
    閑静な住宅街の一角に存在する。
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    深夜2時だったが大門は開いていたので静かに参詣。
    ここから川中島を経由して信濃善光寺に行く。
    先は長い。


    ●未明の甲府から、満天の星空広がる野辺山高原へ

    深夜の甲府市街を越えて国道141号で八ヶ岳東麓高原に向かう。
    町を出ると光害の影響が減り、星空が良く見えた。
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    野辺地高原への道中、スローシャッターで星空撮影。
    自転車の明るい光源を入れるなら加算合成しないとダメだな。


    ●日の出前に長野県南牧村へ、鉄道最高点神社に寄る

    野辺地高原、南牧村に入ると空が白んできた。
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    小海線の野辺山駅にあるJR鉄道最高点神社で一枚。
    アラヤCXGは機関車のような堅牢さ(重さ)があって頼も(重苦)しい。


    ●暖かい野辺山高原から凍える小海へ下る

    標高1,400mに迫る野辺山高原は何故か暖かかった(0℃)。
    しかし小海(700m)に下るとマイナス7℃まで低下、かなり凍えた。
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    歯の根を震わせながら県道2号で小海を抜けて佐久へ突っ走る。
    道中、自販機で”冷たい”コーヒーを買って絶望した。


    ●旧街道の面影残る、海野宿を行く

    佐久から国道141号で西へ移動中、東御市を行くと海野宿の看板が見えたので寄り道。
    海野宿は北国街道の宿場町の一つ、北国街道は善光寺街道とも呼ばれる参詣ルートだった。
    現在でも500m以上にわたって古い日本家屋が並んでいる。
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    これは”くにおくん時代劇”のステージそのものだな。
    各地の民謡をアレンジしたBGMは秀逸だった。

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    渋い蔵造りや窓枠が並ぶ。
    善光寺参詣の他、北国街道は佐渡の金を江戸に結ぶ要路でもあった。
    人やお金が通る場所は良く栄える。


    ●信州上田城に寄る

    東御の海野宿の次は上田城に寄った。
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    城前に自転車を止めて城内へ入る。
    城内の桜はまだ先だが、梅は満開だった。

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    城内奥にある真田井戸を除く。
    直径2m、深さ16mほど。下に抜け穴があって籠城に備えたという。
    外国人が喜びそうな設備だな。


    ●信濃名物、おしぼりソバを食べる

    上田を出ると正午を回った。坂城で珍しいソバがあったので昼食とした。
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    頼んだのは”おしぼりソバ”。
    鼠大根(激辛)の搾り汁に付けて食べるシンプルなソバ。
    塩もダシなく、好みで付属の味噌を溶かして食べる。
    極限までシンプルな味付けなので万人にお勧めできない。
    舌が痺れるので一気にすすって完食するのがベターだ。

    おしぼりソバは池波正太郎の短編小説”正月四日の客”に真田ソバの名前で登場する。
    隅田川沿いにあるソバ屋が、正月四日に限定固定メニューで出す真田ソバ。
    店の常連は「辛くて食えたもんじゃねえ!」と言って4日は閑古鳥となる。
    そんな真田ソバを好んでお代わりする客が訪れ、毎年四日だけの常連となる。

    しかし、その客はソバ屋の主人の親を惨殺した悪党、亀の小五郎だった。
    葛藤の末、主人は同心に「奴は四日に来る」と告げ、翌年の正月に小五郎は捕まる。
    ここまでネタバレしてるが、ラストの主人と小五郎の掛け合いが最高に痺れる。
    自分はこの小説のおかげでおしぼりソバにハマった。


    ●千曲川沿いに進んで川中島へ

    坂城で食事の後、千曲川沿いに古戦場、川中島へ向かった。
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    未明から夜通し走ってきたため、日中の眠気や胃もたれを懸念したが、
    この日は昼飯の辛み大根のおかげか快調そのものだった。
    大根おろしに医者いらず。


    ●川中島の戦い古戦場

    千曲川と犀川のデルタ地帯で繰り広げられた川中島の合戦。
    諸説あるが、上杉軍vs武田軍が5回にわたる戦いを繰り広げた。
    甲斐善光寺は第3次川中島大戦の際に建造された。
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    10年以上にわたる戦いだったが、結果は「双方が勝利を主張」となっている。
    何も変わらねえのかよ、結局。
    初代ACにおけるムラクモとクロームの争いと同じだ。


    ●大将同士の一騎打ち

    旧新潟代表vs旧山梨代表の白兵戦
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    先発、当主(投手)、16代、上杉謙信。
    実況:突っ込んだ!突っ込んだ!越後虎の猛攻はまだ止まらない!!

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    キャッチャー19代、武田信玄。
    実況:晴信、軍配で受ける!これで腕が痛いのか!?


    ●犀川を越えて長野市街へ入る

    川中島2回戦の舞台、犀川を越える。
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    犀川の戦いは200日に及ぶが大きな衝突なし。
    いがみ合いで終わったという。
    川中島の戦いは調べると結構地味だな...

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    長野市内に入り、善光寺宿坊街を行く。
    信濃善光寺はすぐそこだ。


    ●信濃善光寺、仁王門を越える

    善光寺表参道の仁王門をくぐる。
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    善光寺は仁王門含めて何度も消失している。
    今の仁王門は約100年前に作られたという。
    仁王の原型師は高村光雲(上野公園の西郷像作者)と弟子の米原雲海。
    原型像は資料館で観られる。

    仁王像 左に阿形

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    足。デュラエースのクランクをも折りそう。

    仁王像 右に吽形

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    手。油圧ディスク不要、リムを直につかんでブレーキ出来そう。

    ●牛にひかれて善光寺参り

    甲斐善光寺を出て半日、信濃善光寺を参詣。
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    まだ折り返し地点なので道中安全を祈願して早々撤収。


    ●善光寺だけでは片参り、次に参るは元善光寺

    信濃善光寺を後にして、善光寺ルーツの元善光寺に向かう。
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    長野・千曲に戻り、姨捨を越えて安曇野、松本方面に向かう。
    二晩夜通しサイクリングは厳しいと判断し、安曇野で一泊を決定。

    ●篠ノ井線の姨捨駅へ登る

    千曲から国道を離れて姨捨山を越える。
    篠ノ井線がスイッチバックで越える山なので見晴らしが良い。
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    陽が暮れる千曲盆地を眺める。
    内陸の気温は陽が傾くとスッと下がるな。


    ●聖高原を抜けて安曇野で一泊する

    日没間際に国道403号の最高点を越え、麻績村へ入った。
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    冷え込む聖高原から安曇野へダウンヒル。
    冬明けで凍結を懸念したが完全ドライだった。

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    19時過ぎ、チェックインに15分遅れで予約した宿に到着。
    久しぶりに200km越えのサイクリングだったのでこの日はよく眠れた。
    翌日は安曇野から飯田まで約100km、元善光寺までサイクリングした。

    ●跋文

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    トリプル善光寺参りの前半は甲斐善光寺から信濃善光寺+αで安曇野まで。
    金曜の終電で輪行すると一泊分の宿代が浮いて行動半径が伸びると知った。
    甲斐善光寺、川中島、信濃善光寺の案内看板見て各々の関連を良く理解できた。

    小中高を含めて歴史への興味は皆無だったが、自分で動いて現地を見ると、
    この地形だと軍勢はどう動けるのか、ここまで行軍するのにどれぐらいかかるのか、
    本だけで想像できないものが何となく感じられて史跡巡りが面白くなった。

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