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離家 旅西在者 春風 温日出 雁喧度



●序文

2020年1月1日、天候晴→曇→雪。
宮城の古川から岩手の北上までサイクリング。
渡り鳥の寝床で有名な伊豆沼へ、初日の出と雁の飛翔を見に行った。
それだけでは短いので平泉へ足を延ばした。
最後は花巻を目指したが、天候雪&路面が凍結により北上から輪行。

伊豆沼は宮城県北にある東京ドーム70個の広さを誇る沼。
渡り鳥の越冬地として毎年秋から、およそ10万羽の雁が飛来する。
日出と同時に寝床の沼から雁が一斉に飛び立つ様は壮観。

●経路・行程概説


・経路総長:120km、概ね平坦
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  • スタート:宮城県 古川
  • 県道175~伊豆沼
  • 県道4号~一関・平泉
  • 平泉:毛越寺/中尊寺
  • 県道14号~水沢・黒石寺
  • 県道14号~北上
  • ゴール:JR北上駅
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      ●行程記録

      ●古川をスタート、日の出の時間に伊豆沼へ

      2020年元旦、宮城の日の出時刻は6時50分くらい。
      6時に古川の宿を出発、県道を経由して伊豆沼に向かった。
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      伊豆沼の西端側から初日の出を拝む。
      暖冬なのか、この日の冷え込みは温かった。


      ●日の出と共に飛び立つ雁の群れ

      伊豆沼周辺は雁の鳴き声で騒々しい。
      群れの中で鳴き声が止んだ集団から一斉に飛翔が始まる。
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      この風景は音声付で見ると印象が全く違う。
      喧しい鳴き声、無数の羽音、頭上を抜ける時の押される感覚、
      現地で凍えながら見ると二重に鳥肌がたつ。



      ●小さな群れが大群をつくる

      10羽に満たない群れが真一文字にこちらに向かい、頭上を越えていった。
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      家族単位で行動する雁。
      番いは幼鳥が自立した後も死ぬまで番いのまま過ごすという。
      仲睦まじいと思われてるオシドリは繁忙期ごとに番いの相手が変わる。

      雁はオシドリではないが、雁の夫婦はオシドリ夫婦。
      オシドリはオシドリだが、オシドリの夫婦はオシドリ夫婦じゃない。
      ???
      日本生まれの日本育ちの日本人だけど日本語は難しいな...


      ●雁行、4000kmにおよぶ遙かな渡り

      夏はロシア、秋/春は北海道、冬は本州と渡り行く雁。
      途中で中継地点があるとはいえ、その距離は恐ろしく長い。
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      エクストリームな旅で命を落とす雁も少なくない。
      雁風呂という、青森は津軽地方に雁供養の言い伝えがある。

      昔、渡りの雁は枝を咥えて飛び、疲れたら海に浮かべて休むと考えられていた。
      秋に海を越えて津軽まで来た雁は、浜辺に枝を落とし本州の内陸で越冬する。
      そして冬が明けるころ、浜辺に落とした枝を拾って北国へ帰っていく。
      しかし、いくつか枝は残る。それは越冬中に死んだ雁のものとみなされた。
      浜辺の人は雁の残した枝で風呂を焚き、供養したという。

      ●伊豆沼の隣にある内沼でバードウォッチング

      伊豆沼で雁の群れが飛び立ったあと、お隣の内沼で白鳥を見に行った。
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      カモがエサの取り合いをしている。
      右のヤツは小柄ながら大柄なヤツを押していた。


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      毎月22日はスワンスワン(禁煙デー)
      タバコを吸うには息苦しい世の中になった。
      ハイライトが廃盤になったら禁煙しよう。


      ●国道4号で栗原から平泉へ

      バードウォッチング後は岩手に向かって4号を北上。
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      道の駅”平泉”で昼食休憩。
      元日早々、営業しているとはありがたい。


      ●平泉 毛越寺で初詣

      およそ1200年の歴史がある毛越寺へ初詣。
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      普段は中尊寺に観光客が流れて込み合わない毛越寺だが、
      さすがに正月は人の出入りが多い。


      浄土庭園の中央、大泉が池

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      毛越寺の境内、池の専有面積が何気に大きい。
      池を囲うように仏堂が立ち、浄土庭園を形成している。




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      本堂を参拝、池の周りの各仏堂を見て毛越寺を後にした。


      ●平泉 中尊寺

      ついでに中尊寺へ寄ったが超過密状態。
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      本堂に続く行列を見て、引き返すことにした。
      平泉には10回以上来ているけど金色堂はまた今度だな。

      西行歌碑@中尊寺参道

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      聞きもせず 束稲山の桜花 吉野の外に かかるべしとは
      束稲山は中尊寺から北上川の先に見える山。
      昔は吉野の里みたいに桜が植わっていたのだろうか。


      ●平泉出発、晴天から雪に変わる

      中尊寺を出ると雪が降ってきた。
      しかもけっこう強い。
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      雨具を着るも、撥水生地が湿気ったボタ雪に濡れる...
      しばらく走るとヘルメットの隙間に雪が入って重くなる。
      下駄に挟まる雪みたいだ。


      ●雪の県道14号で水沢へ

      北上川の右岸を通る国道4号は平坦で蛇行も少ないが
      交通量が多いので左岸を通る県道14号を行く。
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      雪でも寒くなさそうな人がいる。
      蘇民祭りの像だ。祭りではないが黒石寺に寄ってみよう。


      ●妙見山 黒石寺

      黒石寺に到着。”裸の男と炎のまつり”の舞台。
      雨のような雪のためか、参拝客は3組くらいだった。
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      寒いけど雪の中の寺も良い雰囲気だ。


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      黒石寺は約1,300年前、行基菩薩が開いたという。
      建物は何度も焼失、今の本堂は明治十七年に再建されたもの。
      それでもけっこう古いけどな。


      雪でモノトーンに変わる寺院

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      雨雲レーダは過ぎてるが、なかなか雪がやまない。
      寺門前の茶店でお汁粉を食べて再出発。



      ●水沢から北上へ向かう

      黒石寺を出て北上へ。
      陽が傾いて気温が急に下がってきた。
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      日没が近づき、路面がシャリシャリ氷出す。
      まずい...履いてきたタイヤはスタッドではない。
      陽が落ちた時点で最寄り駅から輪行しよう。


      ●北上の手前で日没、路面は尽くアイスバーン

      花巻まで行こうとしたが、日没後の路面状況が最悪のため断念。
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      歩道・車道共に薄いアイスコーティング状態。
      北上駅手前4kmから押し歩きで移動。

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      地元民に倣い、ペンギン歩きで北上駅に着いた。
      写真の色温度は高いけど、実際はえらい寒かった。


      ●ファイルをここに解凍「キャラダイス.zip」

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      お気に入りのキャラダイス バーレイ
      輪行具を出そうとするも、生地・革紐共にガチガチに凍った。
      解凍ソフト「お~いお茶を」で問題なく開けた。
      氷点下の悪天候用にビニルカバーでも作ろう。

      北上から花巻まで輪行で移動してこの日は終了。
      翌日は遠野へサイクリングに出た。


      ●跋文

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      2020年の元日、宮城の伊豆沼から岩手の平泉へサイクリングに出た。
      日の出と共に、目当てにしていた雁の飛翔を見られて大満足。
      出発の時点で目的を果たしたので、後半は平泉・水沢をのんびり巡った。
      のんびりという割には寒さに苦しめられたが寒い時期の寒い場所も面白い。
      今年もマイペースにぼちぼちやっていこう。